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『商標の使用』とは?

2014/07/26

ある日の知財部

( ゚∀゚)ノ おはようフクロウさん。早速だけど、この原稿見てくれる?

(`ー∇ー´)ノ おはよう。見たトコそれは雑誌かしら?

( ゚∀゚) うん。部長が知財にチェックしてもらえって。

……。品物は後日、黒ネコマークの 宅急便 が荷物を届けてくれました。……

問題の原稿

(`◎∇◎´) この原稿が何か?

( ゚∀゚) 『宅急便』って他社の商標でしょ? 雑誌で使って大丈夫かって部長が心配してるの。

(;`=∇=´) おたくの部長……アナタもだけど、うちの部でやってる社内研修、受けてくれる?

( ゚∀゚) え~どうして~?

(`◎∇◎´) あのね、商標法で言う『商標の使用』は意味が違うの。……条文を見た方が早いな、はい。

この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

商標法第2条第1項

( ゚∀゚) ?????

(`◎∇◎´)ゞ ん~分かりづらいか。じゃこの後の条文に行ってみよう。

この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
一  商品又は商品の包装に標章を付する行為
二  商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
三  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五  役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六  役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七  電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八  商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

商標法第2条第3項

(;゚∀゚) ??????????

(;`ー∇ー´) (あ~疑問符増えた)要するに商標法で言う『商標の使用』とは、ある商標を自分トコのモノやサービスの名前にすることであって。

( ゚∀゚) じゃ今回は……。

(`◎∇◎´) 雑誌記事でヤマト運輸の宅配サービスのことを『宅急便』と書いてるだけでしょ? 間違っても雑誌のタイトルじゃないでしょ?

( ゚∀゚) ないない、それはない。あーだからフクロウさん、雑誌創刊の時は「タイトルを商標調査しろ!」ってうるさいんだ。

(`ー∇ー´) そういうこと。

( ゚∀゚) でもさ雑誌やネットでは商標をやたらぼかしたり、伏字にする人多いよね。どうして?

(`◎∇◎´) さあ? おたくの部長みたいな勘違いか、Webだったら検索よけじゃない? 関係者に見られたくないとか。

( ゚∀゚)ノシ とりあえずこの原稿、直さなくてイイのね。分かった。部長にそう言っとく。

補足

今回のように、書き手の意図する内容がその商標権者の商品・サービスであることが明らかな場合、雑誌やWeb上の記事に商標が登場しても問題はありません。文脈から分かりづらい場合には『™』『®』等の記号や文言でその旨を明示をします。

しかし、意図する内容が商標権者の商品等とは限らない場合、その商標の希釈化(一般名称化、普通名称化)を招くものとして商標権者からのクレームが予想されます。現行法では書き手に対する罰則はありませんが、商標を一般名称(普通名称)に置き換える出版社は意外と多いです。


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