Home » 作品 » 山行記 : 2004/04 上高地・槍沢

[山行記]2004/04 上高地・槍沢


単独。

2004年4月29日(木・祝)

新宿23:00発(集合22:30)松本電鉄会員制バス「さわやか信州号」上高地ルートに乗車。

2004年5月1日(金)

早朝、上高地バスターミナルへ。快晴。肌寒い。人出はまあまあだが、総合案内所の建物を建て替え中のため混雑。

チップ制トイレで日焼け止めを塗りたくり、インフォメーションセンターでゴアテックス®の上下を着込み、スパッツを装着。持参したサラダ味せんべいとピーナツチョコを頬張る。座って落ち着けるのがありがたい。筋力の弱い脚の内側を十分ストレッチする。靴は例によりガルモントのブレンタGTX。

7時頃に出発。梓川左岸をひたすら川上を目指す。明神は休憩せず通過。平地ゆえ速いペースで歩くが、緊張が足りないのかとにかく眠い。徳沢手前でお馴染みのニホンザルと若い山男2名が、至近距離を良いことにツーショット写真を試みるも失敗。引っ掻かれなかっただけ幸いか。

槍見河原より槍ヶ岳

徳沢で休憩中、「ペース速いですね」と声をかけられ、「登りが遅いもので」とゴアテックス®の上を脱ぎながら応える。半分眠ってたとはとても言えない。水、サラダ味せんべい、ピーナツチョコを頬張り、日焼け止めを塗り直し、脚の内側をストレッチ。以後、休憩毎にこの繰り返し。

ゆっくりと徳沢を出発したのは9時頃か。道は時折残雪。眠気やや治まる。横尾でも水+サラダ味せんべい+ピーナツチョコ+日焼け止め+脚内側ストレッチ。小屋前の残雪に行く手の想像し緊張。軽アイゼンも持ってない。

横尾を出発するとすぐ右手にの蝶ヶ岳への登山道が分かれる。標識には「一ノ俣から常念岳へのルートは通行止め」との札。去年の大天井岳-常念岳間の廃道の多さを思い出す。残雪の割合は確実に増える。ペースを落として歩くと、やがて、やや拓けた河原に中高年のパーティが休憩中。はるか上流に槍ヶ岳の頭が覗く。槍見河原であった。良い場所はパーティが占領しているものの、ザックを下ろし、水+脚内側ストレッチ。弁当を広げて盛り上がる中高年を尻目に出発。

槍見河原を過ぎると道は傾斜と残雪を増す。一ノ俣、二ノ俣と橋を渡り、時折右手に見る廃道跡に常念岳への華やかなりし往時を偲ぶ。崩壊地や流れ際の残雪は緊張の連続。槍沢ロッジの水力発電のバッテリーと「あと少し!」の札の後、最後の登りでは後日の下りに一抹の不安を覚える。

昼前に槍沢ロッジ到着。ザックを置きヘリポートまで行ってみると、はるか彼方に槍ヶ岳らしき尖頂。疑いつつ戻ると、ロッジ前に貼られた地図の説明に、2002年の雪崩により見えるようになった由。小屋移転を余儀なくさせた大自然のささやかなプレゼントか。

本日中に下山するか迷ったが疲れに勝てず宿泊手続。水が無料でありがたい。無性にカレーが食べたくなり(山ではたまにあること)、待つ間仕上げの脚内側ストレッチ。蚕棚を独り占めできる空き具合がありがたい。5時過ぎの風呂(石けん類禁止)まで一寝入り。夕食のデザートのライチは久し振り。水気の多い果物はありがたい。寝る前にしつこく脚内側ストレッチ。明日の下りがとにかく心配。

2004年5月2日(土)

快晴。装備は昨日と同じ。水+サラダ味せんべい+ピーナツチョコ+日焼け止め+脚内側ストレッチの後、恐る恐る下山。ロッジ前の日陰(ステップなし)に緊張するも後は問題なし。軽快に下り、槍見河原でゴアテックス®の上を脱ぐ予定が、気が付くと目の前に横尾大橋が。小屋前のマットレスのように残る雪の横で、水+サラダ味煎餅+ピーナツチョコ+日焼け止め+これでもかと脚内側ストレッチの後、ゆっくり山行気分の余韻に浸りつつ横尾を出発。徳沢で日帰り入浴の時間を数箇所確認。

昼前に上高地へ着くと、12時を待ってアルペンホテルへ。入浴料500円+貴重品用コインロッカー100円。温泉ではないが空いているのがありがたい。汗を流し出てみると、脱衣所で「どこでもいいからカレーが食べたい!」と騒ぐ女性あり。山カレー愛好者は私だけでないようだ。14:00発(集合13:30)の「さわやか信州号」で帰京。今回は筋肉痛が軽い軽い。ストレッチ万歳。



(`ー∇ー´)φ Kindle本、始めました。

河馬追物 [Kindle版] / 越智 夕恵

動物をモチーフにした短編集。5作品を収録。

『信濃の国は』移住した信州での日々。

『カッコウの呼ぶ声』近未来の男女に関する一考察。

『月のウサギ』今昔物語に拠る戯曲。

『登攀ガエル』ニホンアマガエルとの交流。

『河馬追物』都会の奇妙な追跡劇。

[Kindle価格]¥100.